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取消2011-300164 商標取消の審決

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当事者間の登録第5100840号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

1 本件商標 本件登録第5100840号商標(以下「本件商標」という。)は、「O’TAHITI オータヒチ」の文字を標準文字で表してなり、平成18年11月22日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,炭酸飲料,炭酸水,ミネラルウォーター,スパークリングウォーター,天然水,鉱泉水,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、平成19年12月21日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁、口頭審理における陳述、上申書(平成24年2月14日)、審尋に対する回答書(同年3月22日)において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証は、いずれも本件商標の審判請求の登録前3年以内の使用の事実を証明するに足るものではない。 (1)被請求人の提出に係る乙各号証について ア 乙第1号証及び乙第2号証(商品写真)について (ア)乙第1号証及び乙第2号証はペットボトルの容器の外観とその容器に付されたラベルを撮影した写真であるが、乙第1号証及び乙第2号証のいずれにも、撮影年月日、撮影場所、撮影者に関する記述は無く、その他撮影日を客観的に証明する資料はない。 かかる証拠資料が提出されない以上は、本件写真は本件審判請求の登録日後に撮影されたものと推認せざるを得ない。 (イ)また、ペットボトルの写真(乙1)は、品名や栄養成分表示等の各情報が記載された裏側のラベルのみであり、正面のラベルの提出が一切なされていない。通常の商取引においては、商品の識別標識となりうる商標が商品の正面側に目立つように付されるのが一般的である。 特に、被請求人が販売する「神秘の雫」(甲1、甲2)、「アズーラ」(甲3)、「サンブノワ」(甲4)といった他のミネラルウォーターについては、いずれも正面のラベルが大きく付されているにもかかわらず、乙第1号証及び乙第2号証からはこのようなラベルの存在を認識することはできない。 したがって、請求人は被請求人に対して、正面のラベルの有無を含め、このようなペットボトルの商品が実際に誰によって製造され、またどのような販売形態で販売されていたのか、また、このラベルがいつ、誰によって印刷されたものであるかについて、釈明を求めると同時に、この商品「ミネラルウォーター又は天然水」(以下、本件商標が付されたペットボトル入りミネラルウォーターを「本件商品」といい、本件商品に付されているラベルを「本件ラベル」という。)の現物を証拠として提出することを求める。 特に、被請求人はわずか4名からなるワイン・洋酒の輸入販売やミネラルウォーターの輸入販売を行う会社であり、自社で水を生産することはないことから、本件商標が付された商品が誰によって製造され、どのようなルートで販売されているかを明らかにすることは、本審判において極めて重要である。 イ 乙第3号証及び乙第4号証(納入伝票)について (ア)乙第3号証は、企業Aから企業Bへ宛てた伝票、乙第4号証は、企業Aから団体Cへ宛てた伝票と見られるところ、各伝票上には、「請求書」「納品書」「物品受領書」のそれぞれの記載が見られる。 しかしながら、これらの伝票は、被請求人が作成し、容易に打ち出しできるものであり、証拠としての価値は極めて低いものといわざるを得ない。さらに、各伝票上には、「物品受領書」の記載があるところ、その「受領印」の欄には企業B又は団体Cによる受領印は一切見られず、本件商標が付された商品が企業B又は団体Cによって受領されたことは何ら立証されていない。 本件商品が実際に企業B又は団体Cによって受領されたかどうかは不明と言わざるを得ず、乙第3号証及び乙第4号証によっては、本件商品を被請求人が販売したと認めることは困難といわざるを得ない。 (イ)また、そもそも被請求人が、本件商品を販売したとする企業B又は団体Cは、どのようにして被請求人が本件商品を販売していることを知ったのかについて釈明を求める。 一般的に、商品を購入しようとするものは、製造・販売するもののウェブサイトやパンフレット等から商品を選択し、購入するものと考えられるところ、被請求人からはこれらの資料が一切提出されていない。 ウ 乙第5号証(宅配便の伝票)について 被請求人は、「被請求人である企業Aから団体Cへ納品された事実を証する書類として、宅配便の伝票を提出し、これにより、本件商品が販売されたことを立証する」と主張している。 しかしながら、通常、伝票には送料の合計金額が記載されるものであるところ、被請求人が提出した宅配便の伝票には送料の金額が一切、記載されていない。また、受付日の記載がなく、「ご希望のお届け日がある場合はご記入下さい」との欄には、8月7日の記載はあるものの、それが被請求人の主張する平成22年であるかについて、この宅配便の伝票からはうかがい知ることができず、証拠の信ぴょう性に疑念を持たざるを得ない。また、伝票右端の「荷受印」の欄には運輸会社Dと見られる印が見受けられるが、不明瞭である。 よって、請求人は、被請求人に対して、乙第5号証の原本の提出を求めるとともに、企業Bに対して本件商品を発送したことを証する証拠の提出を求める。 エ 乙第6号証(試験検査成績表)について 被請求人は、「被請求人である企業Aが販売する水は、企業Eから供給される白神山地の水であるとして、白神山地の水の試験検査成績表を提出し、当該水が適正な品質基準を保持している」と主張している。 しかしながら、当該試験検査成績表によっては、被請求人が本件商標を指定商品中「ミネラルウォーター又は天然水」に使用していたかどうかを証明する証拠にはならない。 また、そもそも被請求人は、「神秘の雫」という白神山地を採水地とする商品を大々的に販売しているにもかかわらず(甲1、甲2)、同じ採水地である白神山地から、南国のタヒチを表す「O’Tahiti」という名称をつけた商品を販売することがそもそも不自然といわざるを得ない。 なお、タヒチ島に住所を有する請求人は、「O’Tahiti」という名称をフランス語で水を表す「EAU」から「タヒチの水」を表すものとして考案し、実際に製造販売し各国へ輸出しているものであるが(甲5)、実際にタヒチ島で採取されていない水に対して「Tahiti」の文字が付された商品を被請求人が販売していることについて、品質誤認の観点から、重大な懸念を表明する。 (2)まとめ 以上より、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第6号証は、いずれも本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用したことを証明するに足りるものでなく、本件審判請求に係る商標登録は、取消しを免れないものと確信する。 3 口頭審理における陳述 (1)本件商品において正面にラベルがない点について、被請求人の取扱いにかかる他の商品との間の違いがある理由について、いまだ何らの説明がなされていない。 (2)被請求人の本件商品の販売形態等について 被請求人の本件商品の販売形態、販売ルート、本件商品の製造者等について釈明を求めているが、更に企業Bや団体Cが本件商品を知った経緯や本件商品の広告方法、上記2者以外の販売先や合計販売数についての釈明を求める。 (3)企業Bについて 企業Bの登記情報を取得したところ(甲6)、被請求人と同一の住所の会社であり、その代表取締役である「人物A」氏は被請求人の取締役でもあるほか(甲7) 、被請求人の代表取締役である「人物B」氏も企業Bの取締役として名を連ねており、両者が関連会社であることは明らかである。そして、被請求人は、同社への商品発送の宅配便伝票の控えが見つからないために提出することができない、などと主張しているが、このような被請求人と同一住所を有する有限会社へ本件商標が付された商品が販売されたとする被請求人の主張には、疑義がある。 (4)一般常識からいって、寒い地域である白神山地から採取された水に全くその採取地と異なる南国のタヒチを表す「O’Tahiti」という商標を採用することは考えにくい。本件商標を付するに至った経緯について釈明を求める。 4 平成24年2月14日付け上申書 (1)本件商品製造時及び取引時における商標権者の所在地について 被請求人は、商標権者は平成23年3月26日に「住所F」に移転していると主張している。そして、ラベルの印刷についての2010年7月29日付納品書の住所は「住所F」であり、2010年7月31日付請求書の住所は、「住所G」であるが、同一人(企業H)による伝票においてわずか2日違いで異なる住所となっているのは極めて不自然である。 さらに、納品書は、その作成日に商標権者が所在していなかった住所が宛先となっているものであり、乙第10号証及び乙第11号証の証拠の信ぴょう性には疑義があるといわざるを得ず、ラベルが発注されたことが証明されたとはいえない。さらに、上記証拠には、「オータヒチ/サンマンド」として3000枚とあるが、本件商標に関するラベルが何枚発注されているのか不明である。 (2)本件商品の販売・宣伝広告等の方法及び団体C等が本件商品の販売を知り得た理由 商標権者は、主としてフランス産のワインの輸入販売を行っており、販売先として、「従来から取引がある業者」と主張しているにもかかわらず、この記載を裏付けるような取引業者へ販売した証拠が提出されていない。特に仮に前記3000枚中その半分の1500枚が本件商標にかかるラベルとして印刷されていたとしても、これまで提出された乙第3号証ないし乙第5号証、乙第12号証ないし乙第14号証によれば、本件商品が販売されたと主張するのは、いずれも請求人と密接な関連のある会社(企業B)、あるいは請求人の取締役(人物C)、あるいは弁護士や会計事務所等に限られており、いわゆる取引業者といえるような者が一人もおらず、極めて不自然である。 後述するとおり、請求人は本件審判請求前に調査会社による本件商標の使用調査を行った。その使用調査報告書(甲8)においては、被請求人の販売先として、「***,***,***,***」との記載があるが、これらの販売先が被請求人のいう「従来から取引がある業者や親密な関係にある者、縁故者」にあたるのであれば、これらの販売先への納品書や請求書等の取引書類が使用証拠として提出されるべきであり、そのような取引業者との取引書類に関する証拠や広告・パンフレット等が存在しない以上、本件商品が現実に取引されたか否かについては、極めて疑わしいものといわざるを得ない。 なお、被請求人は、企業Bと団体Cが本件商品の販売を知り得た理由等について、一切回答していない。 (3)乙第3号証及び乙第4号証の取引書類の作成目的(使用方法含む。)について 被請求人は、乙第3号証と乙第4号証の作成目的について、「取引の管理と経理処理のため」と主張しているが、その使用方法については一切述べられておらず、実際に使用されたものではないといわざるを得ない。 乙第3号証及び乙第4号証には、緑色からなる「請求書」、青色からなる「納品書」、緑色からなる「物品受領書」の3つの欄があるところ、それぞれの欄は切り取り線によって容易に3つに切り取りが可能となっており、それぞれ3つの書類が分離されて取り扱われることが前提となっているものであるにもかかわらず、切り離されない1枚のシート状として、証拠として提出されていることだけからしても、そもそも実際に使用されたものではないといわざるを得ない。 また、「納品書」は、商品の納品先へ商品とともに渡されるのが通常であり、被請求人が有しているべきものではない。また、すでに平成24年1月17日付け口頭審理陳述要領書においても述べたとおり、「物品受領書」の欄に受領印がないのは極めて不自然であるが、これは乙第3号証及び乙第4号証が1枚のシート状として証拠として提出されていることから明らかなように、実際に使用されたものではないからに他ならない。 特に、乙第3号証及び乙第4号証は、平成24年1月18日付口頭審理の場で、請求人により「パソコンデータのプリントアウトを提出した」旨述べられていたことからも明らかなように、パソコンでデータとして入力したものを定型の一枚のシートとして印刷しただけのものであること以上のことを立証するものではなく、本件商品が使用されていたことの証明とはならないことは明らかである。 証拠としての「パソコンデータのプリントアウト」については、被請求人は、パソコンとシートさえあれば、本証拠提出の直前にデータを入力して作成することも容易に可能なのであるから、そのような乙第3号証及び乙第4号証によって、過去の本件商標の使用や証拠作成日を認定することはできない。したがって、これらの証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が使用された事実は何ら立証されてはいない。 (4)乙第3号証及び乙第4号証以外の取引の事実について 被請求人は、上申書において、乙第3号証及び乙第4号証以外の取引の事実として、新たに宅配便伝票(乙12ないし乙14)を提出している。 乙第12号証の郵送先である「人物C」は被請求人の取締役であり(甲7)、このような会社内の人間に本件商品が販売されたとする被請求人の主張には、疑義があるといわざるを得ない。上述したとおり、仮に3000枚ものラベルを実際に注文しているのであれば、取引業者へ販売した取引書類があるはずであるにもかかわらず、このような内部の人間への取引書類しか使用証拠として提出できない時点で、本件商品が実際には販売されていなかったことを十分に推認させるものといえる。 また、乙第13号証のお届け先として記載された「会計事務所I」の住所である「住所J」には、この宅配便が郵送されたと被請求人が主張する平成22年8月4日には、全くの別会社である「企業K」が所在していた(甲9)。 甲第9号証によれば、株式会社企業Kは、平成19年8月31日から平成22年10月9日まで「住所J」に所在し、その後、平成22年10月1日に住所Lに本店移転していたことが明らかである。 したがって、このような別会社が所在していたことが明らかな住所に所在していたとする「会計事務所I」宛に本件商品が販売されたとする被請求人の主張には疑義があるといわざるを得ない。 さらには、乙第13号証は「新宿区」宛てに商品が発送されたことになっているが、そのお問い合わせ伝票番号「3083-1424-6973」は、乙第8号証の運輸会社D株式会社(以下「運輸会社D」という。)の被請求人宛請求書においては、「杉並区」となっており、その信ぴょう性を疑わざるを得ない。 同様に、乙第5号証では、「北区」に所在する団体C宛に商品が発送されたことになっているが、そのお問い合わせ番号「3083-1424-6951」は、上記請求書においては、「足立区」となっており、かかる点からも、これら宅配便の伝票の証拠としての信ぴょう性は極めて低いものといわざるを得ない。 また、宅配便の伝票における「品名」の欄には、「『オータヒチ』『サンアマンド』各種」との記載があるが、通常、「品名」は、内容物の特定のためであるから、ブランド名でなく、ミネラルウォータ一等と記載すべきところ、ブランド名である「オータヒチ」「サンアマンド」が記載してあるのは、極めて不自然である。 なお、乙第12号証ないし乙第14号証においては、そもそも荷受印が不明瞭であり、この点からも使用証拠としての価値は低いものといえる。 このように被請求人が、本件商品を販売した証拠として提出した宅配便の伝票は、不自然な点が多く、乙第5号証や乙第13号証で明らかなように、いずれもその証拠の信ぴょう性について非常に疑わざるを得ないものである。 (5)本件商標の使用調査について 請求人は、専門機関を通じ徹底的な商標使用調査を行い、本件商標が不使用であることを確信した上で、本件審判請求をしているものであるから、その点からも、被請求人が提出する使用証拠は極めて疑わしいものであると考える。 すなわち、請求人は本件審判請求前に、調査会社(企業M)を用いて行った本件商標の使用状況に関する詳細な調査を行っており、それによれば以下のとおり、本件商標が不使用であったことが報告されている(甲8)。 本件調査対象「O’TAHITI」「O’Tahiti」「オータヒチ」を使用した商品を取り扱った実績があるか否かについて、2011年1月14日、企業Aの代表:宮崎氏の息子に2回にわたって内偵工作取材を行った結果、以下の様な回答であった(甲10)。 ・ 酒類、ミネラルウォーターで、「O’TAHITI」「O’Tahiti」「オータヒチ」を使用した商品はこれまで扱ったことがない。 ・ メーカーでないので自社で生産することはない。 ・ 商標は登録しているが商品として取扱った実績は無い。 ・ 他社で取扱っている業者は知らない。 また、企業Aの販売先(卸先)である***,***,***,***の各仕入れ担当者にも2011年1月11日から13日に聴取したが、いずれも取り扱いはないと言う。 当該使用調査報告書において示されているとおり、被請求人の代表の息子自身が本件商標の不使用の事実を認めていることにかんがみれば、被請求人が提出する乙第1号証ないし乙第5号証、並びに乙第10号証ないし乙第14号証はいずれも信ぴょう性に欠けるものといわざるを得ない。この調査は、調査報告書において、2011年1月14日に被請求人の代表の息子から聴取したと記載されていることからも、2010年8月3日に販売されたと被請求人が主張する乙第3号証及び乙第4号証、並びに乙第12号証ないし乙第14号証の証拠価値は極めて疑わしいと考えざるを得ない。 (6)その他の事情 なお、平成23年1月18日に開かれた口頭審理の場で、被請求人は本件商標の採択理由につき明らかにされなかったが、参考までに、請求人と被請求人との間で2008年10月頃から2009年4月頃にかけて請求人にかかる商品の日本における販売の代理店契約につき交渉がなされていた経緯があり、被請求人は請求人が外国において使用していた「O’Tahiti」のミネラルウォーターの存在を当然知っており、それを自らの商標として出願・登録したものである。 (7)まとめ 以上のとおり、被請求人が提出する証拠はいずれも疑義があり、これらの証拠によっては本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が使用された事実は立証されていない。 むしろ、甲第8号証として提出した使用調査報告書によって、本件商標が不使用であったことは明らかというべきであり、不自然な取引書類、取締役である個人や関連会社への販売や、正面ラベルのない不自然なボトル等の証拠をもって、登録の取消を免れることはできない。 特に、答弁書提出以来、口頭審理にもかかわらず、被請求人が信ぴょう性が疑われるボトルのラベルや宅配便、請求書等の取引書類以外に、現物の在庫を証明する倉庫写真等のその他の使用の事実を立証する証拠を一切提出できていないということが何よりも、本件商標が「不使用であった」ことを示している。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書、口頭審理陳述要領書及び口頭審理における陳述においてその理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。 1 答弁の理由 (1)本件商標は、被請求人である商標権者が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において適法に使用しており、このために本件商標は、商標法50条1項に該当せず、このために本件商標が取消される理由がない。 (2)商標権者は、本件商標の指定商品である第32類のミネラルウォーター又は天然水に当る水を容量2リットルのペットボトルに充填して販売しており、そのラベルには本件商標が表示されている(乙1、乙2)。 商標法第2条第3項第1号に該当する「使用」に当る販売(有償譲渡)の一例として、商標権者が東京都豊島区の企業Bに本件商標が表示された水を販売したときの伝票を乙第3号証として提出する。この伝票は、平成22年8月4日付で作成されていることが明らかである。 また、東京都北区の団体Cに対して、同様の水を販売しており、このときの伝票が平成22年8月6日付で作成されている(乙4)。いずれもその販売時期は、本件審判請求の登録前3年以内である。 そして、上記の商品を団体Cに対して平成22年8月7日付で宅配便で送付しており、このことが乙第5号証に明白に示される。 (3)これらの事実から明らかなごとく、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標の指定商品に含まれる水を本件商標を付したペットボトルに充填して有償譲渡しており、これは商標法第2条第3項第2号に該当する適法な商標の使用に当たる。 なお、本件商品であるミネラルウォーターは、2リットル入りのペットボトルに充填されて販売されており(乙1、乙2)、企業Eから供給される白神山地の水である。白神山地の水については、乙第6号証に示す試験検査成績表によって明らかなごとく、適正な品質基準を保持している。 2 口頭審理における陳述 (1)乙第1号証及び乙第2号証のペットボトルの写真は、平成23年4月8日付け答弁書作成の際に、商標権者から代理人事務所に送付されてきた天然水を充填したペットボトルを代理人が撮影したものである。 (2)本件ペットボトルには、撮影されたラベルのみしか貼付されていないが、2種類のラベルを前面と背面とにそれぞれ貼付しなければならないとする合理的理由はなく、裏面のみのラベルで目的とする表示が達成されれば、それで十分なはずである。 また、ラベルは、商標権者の下請けの印刷屋が作成した。 (3)乙第3号証及び乙第4号証の物品受領書には、受領印がないが、この受領印の欄は、商標権者会社の店頭において直接手渡しされた会社取引の場合のみ受領印が押されるという趣旨で便宜上設けられているものの、受領印の欄に必ずしも受領印を押すことを励行していない。したがって、上記書証に受領印がなかったとしても、そのことによって、それが証拠たり得ないとする理由にはならない。 (4)乙第5号証の宅配便伝票の受付日に関しては乙第5号証と同じ日に商標権者から発送された物品の宅配便の伝票(乙7)の裏面には、同日に発送された5品目についての印字がされており、乙第5号証(伝票番号308314246951)の品物が、2010年8月6日付けで運輸会社D西巣鴨センターで扱われたことは明白である。さらに、平成22年8月度の運輸会社Dの被請求人会社に対する請求書(乙8)には、8月6日付けで上記伝票番号の請求が存在する。乙第5号証の商品が平成22年8月6日に運輸会社Dによって受け付けられたことが証明される。 (5)請求人は、白神産地の水に本件商標を付して販売することがそもそも不自然であるとのことである。しかるに白神山地を取水地とする水は、本件商標の指定商品に含まれるものであり、本件商標を付して販売することが何ら禁止されているわけではなく、商標権者においてなし得る裁量の範囲内である。また、このことは、本件商標についての適正な使用に当たることは明白である。 3 平成24年1月27日付け上申書 (1)商標権者の所在地について 商標権者は、履歴事項証明書(乙9)にあるように、平成22年4月12日に、「住所N」から「住所O」に移転し、更に平成23年3月26日に「住所F」に移転している。したがって、本件商品の製造時(2010年5月21日ころ)及び販売時(平成22年8月ころ)における商標権者会社の所在地は、「住所O」である。 (2)ラベルの印刷について 本件ラベルの印刷時期は、乙第10号証の請求書及び乙第11号証の納品書で明らかなごとく、平成22年7月ころに住所Pの企業Hが印刷したものである。 (3)本件商品の宣伝方法 本件商品は、従来から商標権者と取引のある者及び親密な関係にある者、あるいは縁故者等を対象とし、口コミ、すなわち口頭、電話等の方法による購入の依頼に基づいて販売している。 なお、商標権者は、主としてフランスワインの輸入販売を行っていたが、業務を拡大するために、本件商標を使用して、新しいブランドの商品である水の販売拡大を図るために試行販売を行って、従来から取引のある業者や親密な関係にあるもの、さらには縁故者等に供給したものであって、購入者は、商標権者会社からの告知によって知り得たことになる。 (4)乙第3号証及び乙第4号証の作成目的 乙第3号証及び乙第4号証は、取引の管理と経理処理のために作成したものであり、その作成時期は、販売時期である。 (5)企業Bに対する宅配便伝票 企業Bに対する宅配便伝票は、探したが見つからない。企業Bは、持ち帰りだった可能性がある。 (6)乙第3号証及び乙第4号証以外の事実として乙第12号証(人物C)、乙第13号証(会計事務所I)及び乙第14号証(人物D)を提出する。これらは、宅配便の伝票を探す過程において発見されたものである。 特に乙第13号証の裏面のラベルには、乙第12号証ないし第14号証のそれぞれの伝票番号が記載されており、また、このラベルの日付は2010年8月3日となっている。これら3名に対する本件商品の提供が、上記日時になされたことがわかる。なお、これらの者に対する請求は、乙第8号証の平成22年8月31日付け請求書の一覧中に含まれている。

4 当審の判断

1 被請求人の提出した証拠から以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証及び乙第2号証は、水(ミネラルウォーター)の入ったボトルの全体写真(正面)及びラベル貼付部分の拡大写真である。そしてラベル(本件ラベル)には、上部に「O’Tahiti」の文字とそれと比較してやや小さな文字で「オー タヒチ」の片仮名を横一列に書してなる商標(以下「使用商標」という。)を表示し、その下の品名欄に「ナチュラルウォーター」の記載があり、販売者欄には、商標権者(被請求人)の名称及び住所「東京都豊島区住所O」が記載されている。 (2)乙第3号証は、平成22年8月4日付けの商標権者から東京都豊島区西巣鴨所在の企業B宛として作成されている請求書、納品書及び物品受領書がセットとなっている取引書類であり、商品名欄に「オー タヒチ ナチュラルミネラルウォーター 2L」及び「サン アマンド ナチュラルミネラルウォーター 2L」の各記載があり、数量、単位欄には、それぞれ「6本」の記載がある。 (3)乙第4号証は、平成22年8月6日付けの商標権者から団体C宛として作成されている請求書、納品書及び物品受領書がセットとなっている取引書類であり、商品名欄に「オー タヒチ ナチュラルミネラルウォーター 2L」及び「サン アマンド ナチュラルミネラルウォーター 2L」の各記載があり、数量、単位欄には、それぞれ「3本」の記載がある。 (4)乙第5号証は、8月7日を配達希望日として商標権者から東京都北区所在の団体Cを届け先とする運輸会社Dの宅配便の控え伝票(伝票番号3083-1424-6951)の写しであり、運輸会社Dの荷受印(受領日付は不明)が押印され、品名欄には「ミネラルウォーター サンアマンド オータヒチ」と記載されている。 (5)乙第7号証は、8月7日を配達希望日とする宅配便伝票の写しと荷受一覧(内訳)の写しからなるものであり(なお、口頭審理において確認したところ、乙第7号証の宅配便伝票の裏面に上記荷受一覧がある。)、荷受一覧は、運輸会社Dの荷受担当者が2010年8月6日に作成したと認められる、乙第5号証の商品と同時に荷受けされた5個の品物の荷受一覧であり、うち1つに乙第5号証の宅配便の伝票番号と同一の番号が記載されている。 (6)乙第12号証は、8月4日を配達希望日として商標権者から埼玉県蓮田市所在の人物Cを届け先とする運輸会社Dの宅配便の控え伝票(伝票番号3083-1424-6962)の写しであり、品名欄には「オータヒチ サンアマンド 各種」と記載されている。 (7)乙第14号証は、8月4日を配達希望日として商標権者から千代田区九段北所在の弁護士人物Dを届け先とする運輸会社Dの宅配便の控え伝票(伝票番号3083-1424-6984)の写しであり、品名欄には「サンアマンド2リットル オータヒチ2リットル 各種」と記載されている。 (8)乙第13号証は、乙第7号証と同様に宅配便伝票と荷受一覧(内訳)を上下にしてコピーしたものであるが、宅配便伝票は、8月4日を配達希望日として商標権者から東京都新宿区所在の税理士法人Q会計事務所Iを届け先とする運輸会社Dの宅配便の控え伝票(伝票番号3083-1424-6973)であり、品名欄には「オータヒチ サンアマンド 各種」と記載されているものである。 そして、荷受一覧は、 運輸会社Dの荷受担当者が2010年8月3日に同時に荷受けされた5個の品物の内訳であり、乙第12号証ないし乙第14号証の宅配便の伝票番号と同一の番号が記載されている。 (9)乙第8号証は、運輸会社Dから商標権者あての平成22年8月度の請求書であるが、8月3日受付分に乙第12号証ないし乙第14号証の宅配便の伝票番号と同一の番号が記載され、8月6日受付分に乙第5号証の宅配便の伝票番号と同一の番号が記載されている。なお、該請求書は、請求書を届ける旨の文面が記載された1枚目と請求金額、内訳等が記載された2枚目からなるものであるが、いずれの用紙にも全面に多数の運輸会社Dの黒猫のマークが薄い色で印刷されている(この点、口頭審理の場で確認。)。 (10)乙第10号証は、企業Hから商標権者(住所は「住所G」)宛の2010年7月31日締切分の請求書である。また、乙第11号証は、送信日付は確認することができないものの、上部に門アクセスからFAXをしたことを示す記載があり、A4サイズ用紙の中央部に、企業Hから商標権者(住所は「住所F」)宛納品書の部分があり、用紙下方に「企業A 宮崎様」「川田」と記載されているものである。そして、上記請求書及び納品書のいずれにも2010年7月29日に「オータヒチ/サンアマンド」が3,000枚納品されたことが記載されている。 (11)乙第9号証は、履歴事項全部証明書であり、商標権者は、「東京都豊島区住所Nから、平成22年4月12日に「・・・住所O」に移転し、平成23年3月26日に「・・・住所F」に移転したことが記載されている。 (12)甲第6号証は、企業Bの履歴事項全部証明書であり、本店所在地は「東京都豊島区住所N」であり、代表取締役は「人物A」氏であり、商標権者の代表者が取締役である。 (13)甲第7号証は、商標権者会社の履歴事項全部証明書であり、上記企業Bの代表取締役である「人物A」氏及び埼玉県蓮田市所在の「人物C」氏らが取締役である。 2 以上によれば、商標権者は、平成22(2010)年7月29日ころに使用商標を表示した本件ラベルを作成し、該ラベルを使用したペットボトル入りのミネラルウォーター(本件商品)を本件審判請求の登録(平成23年3月2日)前3年以内と認められる平成22年8月4日に企業Bに販売(譲渡)し、同月6日に団体Cに販売(譲渡)したものと認められる。 なお、乙第12号証ないし乙第14号証及び乙第8号証により、平成22年8月3日にそれぞれの宅配便伝票のあて先に本件商品を送付したことは認め得るとしても、当該あて先の者に販売した事実を示す証拠の提出はないから、同日に使用商標の使用の事実があったとは認定できない。 そして、使用商品は、ミネラルウォーターと認められるものであるから、本件審判請求に係る商品中に含まれるものと認められ、使用商標は、「O’Tahiti オー タヒチ」(片仮名部分がやや小さい文字である。)の文字よりなるものであるから、本件商標とは、社会通念上同一の商標と認められるものである。 3 請求人の主張について (1)請求人は、「乙第3号証の企業B宛及び乙第4号証の団体C宛の請求書、納品書等からなるシートは実際に使用されたものではないにほかならず、また、本証拠提出の直前にデータを入力して作成することは容易に可能であることから、乙第3号証及び乙第4号証によって、過去の本件商標の使用を認定することはできない」と主張している。 たしかに、上記取引書類の作成時期について、被請求人は、販売時期と主張しているところ、請求書、納品書及び物品受領書が切り離されていないものであり、また、このような状態で取引書類を保管することも一般的とはいえない(書類のサイズなどが不揃いになる。)ことから、取引書類として作成した時期が販売時期というのは、疑義があるものの、取引のデータとしてパソコン等に保存され、後日印刷されたものとみると、不自然ではないし、団体Cに平成22年8月6日に本件商品を運輸会社Dの宅配便により発送したことが認められるから、団体Cに同日に販売した事実がないとはいうことができない。 なお、企業B宛に発送したことを示す宅配便の伝票の提出はないものの、乙第3号証により、上記同様に平成22年8月4日に企業Bにミネラルウォーターを販売したことを示すものということができる。 (2)請求人は、請求人の調査によれば、商標権者会社は、従業員4人の会社であり、調査会社の調査員による取材に対し、商標権者会社の社長の息子である宮崎氏(以下「社員」という。)は本件商標の不使用の事実を認めていることにかんがみれば、被請求人提出の証拠の証拠価値は極めて疑わしい、と主張している。 甲第8号証(調査報告書)、甲第10号証の1(CD-ROM)及び甲第10号証の2(記録内容を記載したもの)によれば、平成23年1月14日に行われた調査会社の調査員と社員との会話の内容は以下のとおりである。 社員 : はい、企業Aです。 調査員: 先ほど電話しましたパークビレッジ○○(注:調査員の名前) と申します。 社員 : △△(注:社員の名前)です。 調査員: ああ、なんかわかりました? 社員 : それなんですけれども・・・弊社の者に聞いたんですけれども 、今のところ取扱いはないということで。 調査員: ああ、そうなんだ。 社員 : あの?商標だけはあったんですけれども。商品の方は取り寄せ てないということだったので。 調査員: そちらでは、作ってらっしゃらないんですか? 社員 : 作っておりませんね。 調査員: 輸入だけですか? 社員 : そうですね。はい。 調査員: ということは・・・失礼ながら、取り扱っている日本の会社は ご存じないですよね? 社員 : 今、それを確認していたんですけれども・・・ちょっと、ない みたいでして。 調査員: そうなんだ。極端な話ね、中味じゃなくてね、パッケージがい いと思ってね。あの独特の形状というか・・・。 社員 : ああ、カラフルな、そうですよね。 調査員: そう、無理か。 社員 : そうですね。ちょっと弊社の方では扱っていないので・・・。 調査員: 前から扱っていなかったの? 社員 : 前から扱っていなかったですけれども・・・。 調査員: そしたら?。タヒチかなんだかの会社を探して、そこに直接ア プローチするしかないのかね?。 社員 : そうですね。なかなかタヒチの水はインターネットで探してみ たんですけれども。なかなか引っかかってこないもんですね。 調査員: そうなんですよ。で、個人の方のブログとかでね。見つけた んですけど。やっぱりお土産とかで買ってくるらしいですよ。皆 さんね。 社員 : あれ、○○さんが見かけられたのは・・・○○さんが持ってこ られ・・・。 調査員: そうそうそう。たまたまこういうのがあるよって。持ってきた んですわ。 社員 : 御旅行されて 調査員: そうそうそう。うちはサーフ関係の店舗をやってるもんですか ら。これはぴったりだと。仕入れできるところがあればって、い ろいろ探していたんですけど、やっぱりなくてね。 社員 : ラベル、カラフルできれいな色ですものね。 調査員: 店舗に飾るのにぴったりだし。またお客さんに飲んでいただく のにもぴったりかなと思って。 社員 : すいませんね。お役に立てなくて。 調査員: いえいえいえ。えっと△△さんでいらっしゃいますか? 社員 : はい、△△です。 調査員: では、残念ですが。すいませんね。お忙しいところお手間取ら せて。 社員 : また、何かありましたら。弊社の方でも他の水を扱っています ので。 調査員: やっぱり、ECサイトRとかに載っている商品になりますか? 社員 : はい、イタリア産のアズーラ、あとフランス産のサンブノワ。 500と1.25リットルのものがありますんで。 調査員: あの、ミネラルウォーターとしては銘柄はその二つぐらい? 社員 : そうですね。あと日本の神秘の雫・・・ 調査員: ああ、そうかそうか・・・なるほど、残念。どうもありがとう ございます。 以上の会話内容によれば、調査は、請求人ブラスリー ドゥ タヒチの業務に係る「O’Tahiti」の商標を使用した商品(甲5)に関する問い合わせであることを前提に会話がされているといえるものであり、対応した社員が当該商品を取り扱っていないことを回答しているものの、このような問い合わせにあっては、主たる質問以外の質問については、質問者の気分を害さないように回答することが一般的であり、取り扱う水の銘柄の質問に対して使用商標に係る商品に言及しなかったことは不自然とはいえない(例えば、日本産の水の取扱いがある(甲1、甲2)にもかかわらず、「輸入だけですか。」の質問に「そうですね。はい。」と回答している。)。また、録音によると社員が「神秘の雫」と言い終わるとすぐに質問者がしゃべりはじめているので、社員の回答した銘柄が取り扱う銘柄の全てかどうか明らかとはいえないから、これをもって使用商標に係る本件商品を取り扱っている事実がなかったということができない。 (3)請求人は、「被請求人が本件ラベルの製造に係る2010年7月29日付け納品書(乙11)の住所と2日後の日付の請求書(乙10)の住所が異なっているのは不自然であり、証拠の信ぴょう性に疑義がある」と主張している。 確かに、上記納品書と請求書は、同一の「お客様コードNo.0087」であり、一般的には、住所等のお客様情報は、当該コードナンバー等により管理されており、同一コードナンバーであれば、特段の事情がない限りは、同一の住所、名称等が印字されるものである。 しかしながら、納品書として提出されている乙第11号証は、企業Hの「川田」なる者から商標権者宛の納品書の部分が中央にコピーされているFAXであり、その送信日時は不鮮明であり不明であるものの、一般に納品書は商品と一緒にその納品時に届けるものであるから、乙第11号証の納品書が実際に使用された納品書というには不自然である。そして、当該納品書は、本件審判に係る証拠提出のために取引データを元に作成されたものとみると、商標権者に係る上記コードナンバーの住所のデータが最近の住所であることは不自然ではないし、乙第10号証の請求書に特段の不自然さがないことからすると、乙第11号証の納品書は、取引データを元に後日作成されたものとみるべきであって、2010年7月29日に「オータヒチ」と「サンアマンド」のラベル計3000枚を納品した事実は、認め得るものである。 そして、上記それぞれのラベルの作成枚数は不明であるものの、少なくともオータヒチに係るラベルが作成されたと認め得る。 (4)請求人は、「商標権者の主張する本件商品の販売先が密接な関連のある会社(企業B)、商標権者の取締役、弁護士、会計事務所等に限られ、いわゆる取引業者といえるような者が一人もいないことは、極めて不自然であり、調査によれば、商標権者の取引先のウェブサイトや商標権者の商品を直販しているショッピングモールを調査しても本件商標の表示、使用に関しての情報は存在しない」、「本件商品の製造、販売、宣伝広告等の方法及び団体Cが本件商品の販売を知り得た理由は明らかではないし、本件商品が現実に取引されたかどうかは、極めて疑わしい」と主張している。 しかしながら、本件商品がインターネット上で販売されている事実が認められないとしても、被請求人による本件商品の取扱いがなかったと限らないし、そして、本件商品の製造過程は、被請求人の説明によれば、本件商品は、青森県の白神山地の水を平成22年5月21日ころにペットボトルにボトリングされ、同年7月末ころに本件ラベルが納品され、ラベルを当該ボトルにはり付け、同年8月3日には被請求人代表者等に宅配便で発送されたものであり、ペットボトル入りミネラルウォーターの製造過程としては一般的ではないものの、被請求人の主張する、「新しいブランドの商品である水の販売拡大を図るために試行販売を行って、従来から取引のある業者や親密な関係にあるもの、さらには縁故者等に供給したものであって、購入者は、商標権者会社からの告知によって知り得たことになる。」との販売、広告方法からすると、本件商品がインターネット上で販売されていないとしても、不自然とはいえない。 そして、企業Bについては、商標権者と関係の深い会社であるとしても、団体Cは、そのような事情が認められないものであり、本件ラベルの作成の事実、企業B及び団体Cに本件商品を発送した事実は否定できないから、商標権者と上記両者との取引の存在は否定できない。 (5)請求人は、「商標権者が白神山地で採水したミネラルウォーター『神秘の雫』を販売している上に、さらに白神山地で採水したミネラルウォーターに南国のタヒチを表す『O’tahiti』という名称をつけた商品を販売するのは不自然である」、「宅配便の伝票の品名欄には通常、『ミネラルウォーター』等と記載すべきところ、ブランド名である『オータヒチ』『サンアマンド』が記載されているのは不自然である」と主張し、更に「被請求人は口頭審理の場では本件商標の採択理由を明らかにしなかったが、請求人と被請求人は販売代理店契約交渉がなされていた経緯があり、被請求人は請求人のミネラルウォーター『O’Tahiti』の存在を知っていたはずである」と述べている。 しかしながら、上記請求人指摘の点はあるとしても、前述のとおり、本件ラベルが作成され、それがはり付けられた本件商品の存在は、認められるものであり(なお、原本を確認したところ、本件ラベルは、その材質等を含めて専門(印刷)業者において作成されるような本格的なものであった。)、乙第5号証、乙第12号証ないし乙第14号証の宅配便伝票は、品名に「オータヒチ」と記載されているものであり(なお、乙第12号証ないし乙第14号証は、「オータヒチ サンアマンド 各種」とのみ記載されているものであり、これらの記載が後日書き加えられたとするのは不自然である。)、当該宅配便伝票が使用された平成22年8月3日及び6日に本件商品が存在したことは否定できない。 以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者によって、請求に係る指定商品中の「ミネラルウォーター」について使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。