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商願2010-101023拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類及び第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成22年12月28日に登録出願、その後、指定役務については、当審における同24年2月24日付け手続補正書により、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由 原査定において、「本願商標は、別掲2のとおりの構成からなる登録第3093823号商標(以下「引用商標1」という。)とは、『コーヨー』の称呼を共通にする類似の商標であり、また、別掲3のとおりの構成からなる登録第3170676号商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲4のとおりの構成からなる登録第4627145号商標(以下「引用商標3」という。)とは、『モミジ』の称呼及び観念を共通にする類似の商標であって、同一又類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、「びわ湖温泉」の文字と該文字よりやや大きく「紅葉」の文字とを、約1文字程度の間隔を空けて、共に毛筆風に横書きし、そして、当該「紅葉」の「紅」にあたる文字の下に小さく筆記体風に「Koyo」の文字を配し、また、「紅葉」の文字の右横に赤色にて、5分割された円輪郭内に植物の葉をモチーフにした図形(以下、単に「葉様図形部分」という。)を配してなるものである。 しかして、本願商標の葉様図形部分と文字部分とは、視覚的に分離して看取されるものであるところ、当該図形部分は、特定の植物の葉を認識するというよりは、全体として、一種の紋章を表したものと看取させるものであって、特定の称呼及び観念が生じないものとみるのが相当であるから、当該図形部分と文字部分との観念上のつながりはないものである。 そうとすると、本願商標を構成する葉様図形部分と文字部分とは、それぞれが、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものである。 そして、その構成文字部分中「紅葉」の「紅」にあたる文字の下に小さく書された「Koyo」の文字は、その構成態様から、単に「紅葉」の文字から生じる「コーヨー」の読みをローマ字表記したものと容易に認識し得るものである。 また、その構成中の「びわ湖温泉」と「紅葉」の文字とでは、文字の大きさに違いがあるとしても、同じ毛筆風の書体をもって外観上まとまりよく一体的に表されており、その構成文字全体に相応して生じる「ビワコオンセンコーヨー」の称呼も格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。 さらにまた、本願商標は、その構成文字全体で、一つの温泉施設名を表したものと把握、認識されるとみるのが相当であるから、殊更、その構成中の「びわ湖温泉」の文字部分を捨象し、「紅葉」及び「koyo」の各文字部分のみをもって取引に資されるものとはいい難い。 してみれば、本願商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握されるというべきであって、その構成文字全体に相応した「ビワコオンセンコーヨー」の一連の称呼のみを生じると判断するのが相当である。 したがって、本願商標から、「コーヨー」及び「モミジ」の称呼を生じるとした上で、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当ではなく、その理由をもって本願を拒絶することはできない。 その他、政令で定める期間に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。