商標登録の出願ならリュードルフィア特許事務所へ。適切な商標権取得のお手伝いを致します。

不服2012-7221 拒絶査定不服の審決

事件の表示

商願2011- 28714拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

理由

1 本願商標 本願商標は、「忍城」の漢字を標準文字で表してなり、第16類「紙類,文房具類,印刷物,紙製包装用容器,紙製テーブルクロス,写真立て」を指定商品として、平成23年4月22日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『忍城』の文字からなるところ、該文字は行田市にある戦国時代から続く城跡を表す語であり、この忍城周辺には商品を生産、販売する多くの店が存在していることからすると、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、『忍城周辺で生産、販売された商品』であるという、単に商品の産地、販売地を表示したと理解するにとどまり、自他商品識別標識として機能し得ないもの認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、「忍城」の文字よりなるところ、「忍城」は、室町時代の文明年間(1469年?1486年)の初め頃に築城された埼玉県行田市にあった城であって、明治維新の際に壊されたものである。そして、現在は、行田市によって、忍城本丸の跡地に往時の面影を再現した「忍城址」が整備されている。この忍城址は、昭和38年8月27日に県指定記念物の旧跡として指定されており、行田市によって、管理されている。また、忍城址内には、忍城の実質的な天守閣として機能した「御三階櫓」が昭和63年に再建され、郷土博物館が併設されている。 このように、行田市では、「忍城」のあった本丸の跡地に天守閣といえる建造物等を造営し、その歴史・文化遺産を大切に保存し、活用することで、市民のためのまちづくりが推進されてきたところである。 そうとすれば、「忍城」の文字は、上記「忍城址」を指称するものと認められるものであって、これを維持、管理し、まちづくりを推進する行田市の使用する商標として、自他商品の識別力を有しているものである。 そして、本願商標から仮に原審説示の如き意味合いを理解させる場合があるとしても、これが、著名な観光地として一般の需要者、取引者に認識されているものということはできず、使用する商品が、常に、当該地で生産され、販売されているものであろうと認識されるものではないから、直ちに商品の産地、販売地を表示するものとしてのみ、一般に理解されているとは認め難いものというのが相当である。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の産地、販売地を表示したものと認識されるものではなく、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものというべきである。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取り消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。